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まえおき,音楽理論

1.2 音名・階名・実音

まず、基本的な説明をするために音名と階名について説明しなくてはなりません。

 

1.2.1 音名

音名とは、その名のとおり、音の名前のことです。つまり、音名は固定の音のことを指します。普段私たちが口にする音のことですね。
ただ、この音名は、(後述しますが)楽譜の書き方に依存しており、別々の楽器で演奏したりすると、「同じ音名なのに違う音が出る」ということがありえてきます。

 

1.2.2 階名

階名とは、音階のように音を捉えることを指します。
つまり、主音と呼ばれる基準の音を決め、その音を「ド」と呼び、他の音を表現する方法です。
ただし、短調(後述)の場合には、主音を「ド」ではなく、「ラ」とするのが一般的です。

少しわかりにくいですね(^_^;)
では、これらのことについて、下の図1を参照して見てみましょう。

音名と階名
〇図1 音名と階名〇

 
このように、音名の場合には、楽譜に書いてあるとおり、左から順に「ファソラ・・・」と読んでいきますが、階名の場合には、「ファ」の音を基音とし、これらの音を「ドレミ・・・」と呼ぶわけです。
また、階名で歌うことを移動ド唱法、音名で歌うことを固定ド唱法と呼び、声楽や弦楽器などでは移動ド唱法を使って表現することが多々あります。
これは、これらが移調(後述)を容易に行える楽器であるため、そのような習慣が生まれたのだと思います。
例えば、楽譜には「レファ♯ラ」と書いてあるのに、指揮者が(特に弦楽器に対して)「そこのドミソのフレーズが・・・」などと言うことはよくあることです。
これは移動ド唱法で伝えてるんですね。このようなことがあるので、音名と階名の理解は、簡単にでもしておくべきと私は考えます。

 

1.2.3 実音

さて、音名と階名の定義が終わったところで、本題です。
先ほども述べたように、楽譜の書き方で音名は変わってしまいます。
階名は調にも依存するので、このサイトのように、歌うのではなく楽譜の説明をするようなときには、音名よりもさらにわかりにくくなってしまいます。
つまり、音名も階名もどちらとも本サイトにとってはわかりにくい表現なのです。

そこで登場するのが実音です。

実音は「in C」の楽器での音名のことです。
つまり、ピアノの音名のことですね。
例えば、ピアノのあるドの音は、

  • クラリネット(in B♭)ではレ
  • ホルン(in F)ではソ
  • コントラバスではオクターヴ上のド

と、楽器によって音名が変わってきます。
(この理由は先程もいったように記譜の方法による違いです⇒後述)
しかし、これではわかりにくいので、これらの音の実音というものを決め、それをピアノのドに合わせよう!というのが実音の考え方です。
要するに、音楽界の共通語ですね(`・ω・´)

実音を音名と同じように「ドレミ・・・」で表現するとわかりにくいので、普通それにはドイツ語式の表記を用います。

ではここで、それぞれの音の表記の違いを見てみましょう。
下の表1を見てください。

〇表1 音名の表記〇
音名の表記
※嬰は「エイ」と読みます
※♭♭はダブルフラット、×はダブルシャープの意味です

えらく変な図になってしまいました(;´д`)
なんか、普通にスタイルシートで表を書いたら、うまく表示されなかったんで画像にしたんですけど・・・

おっと、話が脇道にそれました(^^;
どうかこの表は多めに見てやってください(>_<) 今後、本サイトでは基本的にドイツ語式の実音を用いた表記を行います。
表記自体は「C」のように書きますが、慣れるためにも「シー」ではなく「ツェー」と読んでくださいm(_ _)m

さあ!ここで、先ほど紹介した、他の楽器での「ピアノのド(実音はC)」が何という実音になるかを見てみましょう!

  • クラリネット(in B♭)では音名はレ、実音はC
  • ホルン(in F)では音名はソ、実音はC
  • コントラバスでは音名はオクターヴ上のド、実音はC

このように、実音表記だとすべての音が「C」で表現できるようになるのです(*゚▽゚*)
これらの楽器は「移調楽器」と呼ばれる楽器です。
移調楽器についての詳しい説明は後日行います!

 
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